日帰り手術ってどうなの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
入院の準備をする必要がないから楽でいいやと思われる方もいらっしゃるでしょうし、毎日通院するのはしんどいと思われる方もいらっしゃるでしょう。入院手術にも日帰り手術にも長所と短所はあります。
ではどんな方々に日帰り手術は向くのでしょうか?基本的に局所麻酔で行われる眼科手術は入院する必要はないといえます。
日帰り手術のメリットとしては、入院による生活環境の変化がない。仕事や家庭から離れる時間が入院よりも短くて済む。入院よりも費用がかからない等が考えられます。このように日帰り手術はたいへん魅力的ですが、残念ながら例外はあります。
患者さんの背景として、例えば重い心臓病や糖尿病を患っている場合は内科的な管理が術前術後に必要でしょうから、総合病院で入院しながら眼科と内科での治療を行った方が安全でしょうし、重度の認知症がある場合は全身麻酔での手術が必要となりますので、術後管理が一人では困難でしょうからやはり入院手術が向いていると考えられます。
また全身状態が良好でも片眼しかない方や手術しない側の目が極端に視力が悪い場合、術後に一人で自宅に帰ることは危険ですし、付き添いの方を伴っていても、かなり困難な作業となるでしょうから、入院手術が向いていると思われます。
また患者さんがひどく遠方にお住まいの方も診療所近くに宿泊施設がない限り、しばしば通院するのは困難でしょうから、病状が安定するまでは入院の方が向いていると思われます。
白内障手術だけでなく、以前ですと回復までに時間がかかると言われていた、緑内障手術、硝子体手術、バックリング手術なども現在では手術方法や手術機械の進歩で安全に行えるようになってきましたので、日帰り手術で行う施設も15年くらい前から増加しております。
ただし術後管理を厳格に行わなければならない症例では今も入院で手術を行うことが基本です。
例えば同じ網膜剥離でも裂孔の位置が上方ですと術後の体位をあまり厳格に管理する必要はありませんが、下方の裂孔や古い網膜剥離などは網膜を復位させるために厳格にうつむきの体位を取る必要があります。こういう症例では入院での手術の方が向いているでしょう。
現在の眼科手術は多くの症例が日帰り手術でも安全に行えるようになってきましたが、適しない症例も存在し、医師と患者さんがよく話し合いながら、入院か日帰りかの適否を患者さんに提示するのがよいと思われます。
- ・ 重い病気にかかっていて、全身状態が悪い方
- ・ 重度の認知症の方
- ・ 手術を行わないほうの目が見えない、あるいは極端に視力が悪い方
- ・ 治療機関から頻繁な通院が困難なくらい、遠方にお住まいの方
- ・ 手術後しばらくの間、体位を厳格に守る必要がある方など