日常の診療で比較的よく見かける疾患をご覧ください。
結膜の血管が切れて白目(結膜)が赤く染まります。充血ですと血管の1本1本が分かるのですが、出血では血管を識別することが出来ません。ほとんどが原因不明です。効果的な薬(飲み薬、点眼薬)はありません。出血量によりますが、数日から2週間くらいで血液は吸収されて元の白目に戻ります。
これに似た疾患で急性出血性結膜炎があります。ウイルス性結膜炎(はやり目)の一種で多量の目やにが出ます。この疾患は点眼薬で治療します。
白目(結膜)から黒目(角膜)に向かって、三角形に伸びる良性の腫瘍です。この写真ほど大きくなると瞳にかかって視力低下を来しますので、通常は瞳にかかる前に手術治療を行います。
黒目(角膜)にゴミが刺さる事です。ゴミは鉄粉や木くず、石などです。痛みを伴うことが多く、早めに眼科を受診して、異物を取ってもらいましょう。特に鉄粉は錆びると角膜組織を溶かし、治癒が遅れます。
本来、眼窩内にある脂肪組織が筋肉や靱帯の弱ったところから前に飛び出してきて、結膜下に脂肪組織が現れた状態です。異物感を感じたり、視界の外側を遮るようになると手術が必要です。
結膜下にゼリー状の良性腫瘍(嚢腫)ができる疾患です。原因は外傷や手術後、不明と様々ですが、通常、痛みやかゆみなどの症状は伴いません。針で穿刺して内容物を出すこともありますが、再発しやすいです。放置しても構いませんが、手術的に摘出する方が再発も少なく、気になるのであれば手術での摘出がよいでしょう。
角膜の周辺に沿って細胞浸潤を伴う潰瘍を生じるアレルギー性(3型)の角膜疾患です。痛みやまぶしさといった症状を感じます。抗生剤とステロイド剤の点眼薬を用いて治療します。瞼に常在するブドウ球菌に対するアレルギー反応と考えられています。
コンタクトレンズによる疾患をいくつか見ていきましょう。
アレルギー性結膜炎の1種です。瞼の裏に巨大ないくら状の増殖病変が認められます。コンタクトレンズや義眼、手術の縫合糸といった物理的刺激が原因とされています。角膜病変は通常認めません。画像は典型的な症例ではありませんが巨大乳頭が散見できます。コンタクトレンズの装用を中止して、ステロイドや非ステロイドの点眼剤を併用して治療します。
似ている疾患に春季カタルがあります。これもアレルギー性結膜炎の1種ですが、アトピー性皮膚炎を伴うダニアレルギーの青少年男子に多く、瞼の裏に石垣状の増殖病変を認めます。春から夏にかけて病状が悪化することから、この名前がつきました。角膜びらんといった角膜病変を高率に認めます。ステロイド剤と免疫抑制剤の点眼薬を併用して治療します。
角膜に円形の病巣を形成した白斑を認め、通常は強い痛みやまぶしさを感じます。起炎菌の多くはブドウ球菌によるもので、コンタクトレンズのケア不足や長時間の装用に起因し、コンタクトレンズの装用中止と抗生剤の点眼(ステロイド剤を併用することもある)で治療を行います。
角膜は本来無血管の組織ですが、コンタクトレンズの長時間の装用(1日12時間以上)により角膜への酸素供給が不足すると、酸素供給を行うために角膜内へ血管が進入してきます。血管が瞳孔にかかると視力が低下します。酸素不足は角膜内皮も減少させます。角膜内皮が減少すると、角膜は透明性を維持できず、視力が低下することになります。一度角膜内に進入した血管を消退させたり、角膜内皮を増加させる有効な治療法は残念ながらありません。病状を悪化させないためには酸素不足を解消するしかないので、眼鏡をかけてコンタクトレンズの装用時間の短縮(1日9時間以下)や装用中止を行います。眼鏡が合わない人はLASIKといった屈折矯正手術も考える必要があります。